10月15日(火)

決算特別委員会 総括

出席者

川口 としお 委員長

藤澤 進一   八武崎 一郎   田島 進

田島 鐵太郎   田中 寿一   斎藤 正隆

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総 括 意 見

田中 寿一

 平成24年度一般会計歳入・歳出および各特別会計の歳入・歳出に対し、区議会自由民主党を代表し、総括意見を申し上げます。

 昨年12月26日、3年余り続いていた民主党政権から、安倍晋三自民党総裁を首相とする、第2次安倍内閣が発足をいたしました。

 被災地の復旧•復興を最優先に、デフレ脱却を実現するための経済対策、日本の美しい海と領土と主権を守り抜く、外交・安全保障対策、そして、世界トップレベルの学力と我が国の歴史・文化に立脚した、教育の再生など、我が党の理念と政策を、国民ひとりひとりに訴え、誕生をみた政権であります。

 安倍総理は、総理就任会見において、これら、直面する国難を克服するべく、自らの内閣を「危機突破内閣」と名付けました。

 内閣発足から9ヶ月余り、現に、我が国は今、その危機に敢然と立ち向かい、力強く動き始めています。

 外交においては、自由と民主主義という明確な理念を掲げ、地球狭しと20カ国以上を飛び廻り、時には財界人同行のもと、トップセールス外交を展開するなど、我が国の安全保障や産業経済力の充実、更には国際的発言力の強化に、積極的に取り組み、歴代内閣の中でも、抜きん出た外交力を発揮しています。

 経済面では、1991年のバブル崩壊以降、失われた20年とも言われる、長期的なデフレを終焉させる、強い決意のもと、いわゆるアベノミクスと言われる3本の矢が、政権発足後間もなく、矢継ぎ早に放たれました。積極的な金融緩和により、市場に大量の資金を供給してゆく第一の矢、資金を政府が金融市場から調達し、大規模な投資を行ってゆく第二の矢、そして、それら2本の矢を民間の経済活動の活性化へと繋げ、成長軌道に乗せてゆくための産業・経済構造をつくる第三の矢です。

 その効果は、言うまでもなく、円安・株高という市場の反応をみれば明らかです。

ま た、今年4月〜6月期の実質GDPは年率換算で3.8%増という高い伸びとなり、3四半期連続のプラス成長、持続的な景気回復に欠かすことのできない、企業の設備投資も1.3%増、6四半期ぶりにプラスに転じています。更に、日銀が今月1日に発表した短観によると、大企業製造業の景気判断はプラス12ポイントと、前回より8ポイント上昇、3期連続の改善となり、リーマンショック前の2007年12月以来の高水準に回復しました。

 直面する国家的危機に対し、叡智を持って挑み、突破する。その覚悟は、今や、ほんの9ヶ月前まで我が国を覆っていた、暗く・重たい空気を一変しつつあります。

 

 こうした中、本区の平成24年度決算の財政状況を見てみますと、9月30日に総務省が発表した、健全化判断比率の速報値において、本区の実質公債費比率マイナス5.2は、杉並区と並んで全国一となりました。職員の削減や民間活力の導入など、これまで多年にわたって、強力に推し進めてきた、行財政改革の成果であり、多田区政の真髄として、高く評価されるべき一面です。しかし一方で、財政構造の弾力性を測定する指標である、経常収支比率は84.5%と、未だ適正範囲の80%を超えております。財政の硬直化を避けるためにも、尚一層の行財政改革への取り組みは、必須であります。

 また、平成24年度末における財政調整基金の残高は、113億円であり、前年度比79億円の減、過去3年間では269億円もの取り崩しを余儀なくされております。社会経済情勢の変化に伴う、新たな財政需要に対応し、持続可能な財政基盤を堅持してゆくためにも、基金残高の確保は、重要な課題であります。

 歳入では、特別区税が23年度と比較してプラス13億円の増収でありますが、税制改正による増額のため、景気回復を背景とした、実質的な好転には至っておりません。

 一方、財調収入は、平成19年度の936億円をピークに減り続け、平成23年度には794億円にまで落ち込みましたが、24年度は、景気回復の兆しから、久しぶりに増加に転じ、798億円となりました。    今後の更なる回復が期待されるところでありますが、ここにきて、大きな不安材料が生じてきています。現在、国や全国知事会においては、財調の主要な財源である、法人住民税の一部国税化が検討されています。これは単に、税収の多さにのみ着目した検討であり、大都市特有の財政需要といった、複眼的な議論がなされていないことは、極めて遺憾です。万一、この案が実施されるようであれば、本区は36億円もの減収となる見込みです。この金額は、昨年度の全事務事業の総点検によって生じた、216項目の施策見直しによる効果額と、全く同じであります。苦心の末、捻出した金額が、国の制度改正によって、簡単に失われてしまうことになります。これに対し、区議会自由民主党と致しまして、限られた地方税により「財源調整」を行うのではなく、地方が担う権限と責任に見合った、地方税財源の拡充という、より本質的な問題に取り組むべきとする意見書を、今定例会で国に提出するべく、鋭意努力を重ねているところであります。

 続いて、歳出に目を転じてみますと、総額では対前年度比プラス28億円の2279億円、うち、福祉費と健康費の支出は1324億円と、全体のおよそ58%を占めるまでに至っております。急速な高齢化を背景に、これら社会保障関連経費は、今後も恒常的に増加してゆく見込みであり、区民に安全・安心を提供してゆく基盤である、健全財政を将来にわたって堅持してゆくためにも、民間活力の導入を中心とした更なる行政のスリム化と、社会構造の変化を見据えた事務事業の見直しを、果断に実行してゆかなければなりません。

 このような現状を踏まえ、平成24年度決算審査にあたり、区議会自由民主党と致しまして、「持続可能な財政」こそ、区政発展の基盤であるとの認識に立った、次世代に負担を先送りしない区政運営が行われているか、区民の自助と共助を基本に「共育・協働」の理念が施策の随所に貫かれているか、誰もが夢を持って挑戦できる社会を目指すとともに、額に汗して働く人間の努力が真に報われる、公正・公平な社会の実現に努めているか、首都直下型地震の発生という危機が想定される中、区民の生命・財産を守る、防災・減災および都市基盤の強化を積極的に推し進めているか、以上の観点を評価の中心に据え、区政万般にわたる施策について審査して参りました。結果として、多田区長の統率力と決断力、そして、先見性による経綸が、区民の安心と未来への希望を生み出していること、および、区民との、確固たる信頼を礎にした区政運営が、所期の目的を達成するとともに、今後、より質の高い施策に帰結してゆくという確信から、私たち区議会自由民主党は、平成24年度歳入歳出決算の認定に対し、賛意を表明するものであります。

 

 なお、審査の過程で述べてまいりました課題、提案、および、要望につきましては、今後の施策に反映されますよう、強く要望します。主なものにつきましては、ここで、改めて意見を申し上げますので、実現に向け、積極的な検討をお願い致します。

 まず、歳入について申し述べます。

訪問形式での督促、および、遠隔地や連絡不通滞納者への督促など、様々な形で、歳入確保に努めていることは、高く評価します。今後も、決意と使命感を持って、悪質な滞納者と向かい合い、歳入確保に取り組んでいただくよう要望します。あわせて、税・保険料・貸付金などの、複数の債権を滞納している「多重債務者」の現状把握と厳格な対応、および、庁内における一元的な管理システム構築を要望します。

 また、新たな歳入確保の観点から、広告による収入増に、工夫を施してもらうとともに、用途が確定していない土地や、事業化まで時間を要する土地の利活用を図るなど、積極的な歳入確保に向けた取り組みを強く要望します。

 

次に、歳出について申し上げます。

始めに、総務費。

「本庁舎建て替え計画」の推進にあたっては、PFI方式など、民間の知恵と活力を取り入れながら、幅広い視点で討議し、区民の利便性向上と、安全性の確保に、十分配慮した計画立案を要望します。

マイナンバー制度は、これからの国民生活に直結する、大事な制度となることから、国からの情報をきめ細やかに収集し、遺漏なきよう、着実な準備と、体制づくりを要望します。

また、情報政策の推進にあたっては、高度な専門性が必要とされることから、これまでに実施した第三者評価を、コスト削減と利便性の向上につなげるとともに、民間活力を、より一層取り入れてゆくよう要望します。

延滞金の徴収のあり方については、公平・公正の観点に立ち、今後、区の指針を、明確に示していただくよう要望します。

 

次に、区民生活費。

振り込め詐欺については、昨年度の被害件数110件、被害総額3億1千2百9万円と、未だ収束に向かっていない中、消費者センターを中心に、警察・町自治会、そして、民間業者との連携を深めながら、被害ゼロに向けた、一層の取り組みを要望します。

姉妹都市盟約、25周年を迎えたゴスフォード市との交流は、大変に意義のある都市交流であり、青少年の翼でお世話になっている、ホームステイクラブや民間レベルでの交流を含め、より密度の濃い交流を続けてゆくことを要望します。

共育プラザの運営にあたっては、利用率の低い時間帯を有効活用し、不登校児を受け入れるなど、より広範な活動拠点となることを要望します。また、中高生にアンケートを実施するなど、利用者の声を参考とするよう要望します。

こども未来館については、小学校の授業が行われている、平日日中の時間帯を有効活用するとともに、子どもたちの主体的な学びを大切にしながら、より幅の広い子どもたちに、その魅力に触れてもらえるよう、区内各所における講座の実施を要望します。

プールガーデンの廃止については、廃止およびその後のテニスコート設置計画までのプロセスに、拙速感が否めません。今後の公共施設のあり方については、地元や関係機関と、綿密な連携を図るよう要望します。

本年7月1日にオープンした、新川さくら館でありますが、新川全体の拠点施設として、今後、大きな役割が期待されます。事業の中心が「にぎわいづくり」へと移ってゆくにあたり、地元および指定管理者との連携のもと、計画的・積極的に推進されるよう要望します。

 

次に、産業振興費。

スーパー連携大学院については、都有地とはいえ、区内に所在する土地であり、設立に向け、積極的に働きかけていただくとともに、各関係機関と綿密な連携を図るよう、要望します。

本区の伝統産業である農業の振興は、重要な課題です。農業経営者の要望を的確に捉え、積極的な協力を通じて、農地を保全してゆくよう要望します。

 

続いて、環境費。

資源ゴミの無断持ち去りは、未だ後を絶たず、住民とのトラブルも発生している状況です。住民の、分別収集への協力を無駄にしないためにも、防止策の徹底を要望します。

 

次に、健康費。

総死亡数の3分の1を占める、ガンの予防に向けた取り組みは、区民の健康を守るうえで不可欠な、最重要課題です。区民への意識啓発を含め、検診受診率向上に向けた、より一層の取り組みを望みます。

 

次に、福祉費。

障害者の「親亡き後の人生」を社会的問題として捉え、グループホーム等の建設を、民間業者などに働きかけるよう、要望します。

おひさま保育園が、順次拡大してゆく中にあって、園数や職員数に見合った体制づくりを適切に行い、子どもたちの育ちと幸せの実現に、積極的に取り組むよう望みます。

生活保護費の増大は、社会的側面からも、重要な問題であると同時に、財政面においても、極めて深刻な課題となっています。就労・自立を促す方策の充実を強く望むものです。また、不正受給も数多く見受けられる現状にあることから、受給者の実態把握を正確に行い、公平で公正な社会の実現に向け、一層の努力を要望します。

 

次に、都市開発費。

JR小岩駅周辺地区再開発事業は、総論から各論に移り、結論を目指す段階に入りました。地権者の人生設計に関わる事業推進にあたり、未来の小岩をしっかりと見据え、住民の幸せにつながる取り組みを望むものです。

京成本線の連続立体化事業は、北小岩地区の住民の長年の夢であります。地域活性化のためにも、早期実現に向け、東京都、葛飾区、および、京成電鉄に、積極的に働きかけていただくよう要望します。

超高齢化社会に備え、熟年世代が広く安心を感じられる住まいの重要性を認識し、現行の江戸川区基準を見直し、東京都基準とするよう、要望します。

住宅等耐震化促進事業の助成制度を利用して、耐震改修を行った家屋において、希望者に対し、改修済みを示すステッカーを配布するなど、区民の安心と安全を推し進める、方策の充実を要望します。

 

次に、土木費。

北小岩一丁目および篠崎公園地区の、スーパー堤防事業と街づくりの推進は、ゼロメートル都市・江戸川区にとって、区民の生命・財産の保護に直結する、最重要課題です。地域住民の理解を得ることに対し、最大限努めるとともに、実現に向けた、着実な推進を求めます。

 

次に、教育費。

小学校の統廃合を進めるにあたり、地域の声を丁寧に聞き集め、合意形成と連携を基軸とした推進を強く要望します。

また、地域に根差し、真に開かれた学校となるよう、来校者に対する職員の接遇向上を要望します。

本区の児童生徒の学力向上は、喫緊の課題であります。土曜授業の積極的な活用を中心に、あらゆる手段を講じるとともに、全国学力テストの結果とその分析が、各学校および各児童生徒の学力向上に、着実に結びつくよう、積極的な働きかけを要望します。

公共心や社会性、高い規範意識、我が国の伝統・文化を尊重する心を育むためには、体系的に組み立てられた道徳教育の実践が不可欠です。東京都の独自教材を積極的に活用し、教育基本法・学習指導要領に沿った、指導の徹底を強く望みます。

開設から50年近く経った「郷土資料室」でありますが、本区の歩みと先人の歴史を今に伝えるという、その意義は、今日ますます重要性を増しています。学校教育との連携はもとより、子ども向けの企画展を実施するなど、より多くの子どもたちの好奇心に働きかける取り組みを要望します。

義務教育は全ての児童生徒が等しく受けられることが大前提です。経済的理由により、教育の機会を失う子どもが出ないよう、引き続き、適正な就学奨励扶助の執行を求めます。

区立幼稚園が減ってゆく中、私立幼稚園における障害児の受け入れについては、十分な対応を取って頂いているところです。本区の幼児教育については、今後とも、私立幼稚園に担って頂くよう、要望します。

 

なお、国民健康保険事業特別会計、介護保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計については、特段申し上げることはございません。

 

最後に、平成24年を振り返ってみますと、自立式電波塔として世界一の高さを誇る、東京スカイツリーの開業や、史上最多・38個のメダルを獲得したロンドンオリンピックなど、苦難の中にも、明るく、ポジティブなニュースに彩られた一年でありました。中でも、iPS細胞の開発により、再生医療と創薬に画期的な道を拓いた、山中伸弥・京都大学教授のノーベル賞受賞は、私たち日本人に、大きな元気と勇気、そして自信をもたらしました。

今や代表的日本人として、世界と未来を舞台に活躍する山中教授でありますが、今日に至るその歩みを見れば、「人間万事塞翁が馬」と、自身の人生を、例えられているように、決してエリートとは呼べない、紆余曲折の道のりであります。それでも、ここまで研究者として歩んでこられたのは、アメリカ留学時代、当時所属していた研究所の所長から、「研究者にとっても、人生にとっても大切なのはVWだ。」と教えられたことにあると語っています。Vはビジョン、つまり長期的な目標、Wはワークハード、つまり、ハードワーク・一生懸命に働くということです。明確な長期的目標を持ち、それに向かって、ひたすら努力する。研究者として、また、人間として成功するには、この2つが必要であり、どちらが欠けても駄目だという教えです。

私たちの街・江戸川区にとってのV、つまり、ビジョンとは何でしょうか。それは「生きる喜びを実感できる都市」であります。そして、この区民共通の夢を実現するために、私たちは、その先頭に立って、W、つまり、懸命なる努力をしてゆかなければならないのであります。夢は、私たちに知恵や意欲、そして、使命感を与えてくれます。そして、夢の実現の道程で生じてくる、あまたの問題に対し、真剣に取り組んでゆくことによって、江戸川区という組織は洗練化され、活性化してゆく。困難な課題こそが、私たちを強く・しなやかにしてゆくのであります。人口減少や超高齢化社会といった、長期的な課題に直面している今日において、このような、積極的な姿勢こそ、まさに今、求められているのだと思います。

 

私たち区議会自由民主党もまた、第一党としての使命感に立ち、区民共有の夢の実現と、課題の克服に向け、最大限努力して参ることをお誓い申し上げます。

以上、区議会自由民主党の総括意見といたします。

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